ジブリアニメの海外進出に関するニュース
2005年03月06日(日)00時00分
3月6日付Daily Variety紙でRobert Koehlerは「ナウシカ」他のDVDをレビューしました。
同世代で最も想像力にあふれ才能がある日本のアニメーター宮崎駿は、本当はそうではないのに受け入れられてしまっているあのもっともらしいフレーズ、「日本のディズニー」として米国では知られるようになった。米国では未公開の宮崎の二作品――監督第二作の「風の谷のナウシカ」(1984)と彼の最も評価されていないが最も個人的な映画である「紅の豚」(1992)――のディズニーによる発売は、このフレーズを裏付けるもののように見える。若いキャラクターたちのファンタスティックな冒険を監督が好むこと、彼のすばらしく成功しているスタジオジブリが金銭上、制作上のパートナーシップをディズニーと組んでいることを考えれば、駿をウォルト(ディズニー)と直接比べるのは自然である。
(宮崎がディズニーと似ていると)そう言ったからといって、そうだということにはならない。そして今回発売された(宮崎の)作品とジブリが制作した「猫の恩返し」を見れば、何よりそれは明らかである。「猫」は宮崎のアイディアに基づくが森田弘幸が監督した2002年の作品で、今回発売された作品の中で、典型的なディズニーアニメーションと比較できる唯一の作品である。
(中略)「猫」はこの三作品の中ではるかにレベルが低く、最も若い女の子に向いた作品である。それは宮崎に世界的な大ヒットをもたらした広い層にわたる大衆という観客層ではない。
そのかわりに、宮崎ファンやアニメーションファンは「紅の豚」と「ナウシカ」に注意を向け、そしてこれらの作品を見ながら、なぜそれらがビデオ発売される前に劇場公開されないのかと疑問に思うべきである。 元第一次世界大戦のエースパイロットの賞金稼ぎで人間の体に豚の顔を持つ、題名にもなっているキャラクターが、空賊を警戒してアドリア海を飛び回るという素晴らしく面白い「紅の豚」に関しては、特にそうである。
もしこの映画が家のテレビに収まるには大きすぎると感じるなら、それは「紅の豚」が映画館のスクリーンで見るように作られた素晴らしく豊かな(主に大人と年長の子供向けの)映画らしい映画であるからである。ディズニーがこの映画をやっと発売したことは褒められるべきだが(しかしフランスでは1999年からDVDで見ることができたのだが)、ちゃんとした劇場公開を避けたことについては真剣に叱られるべきである。
この映画は宮崎の最も素晴らしい業績のひとつであるばかりか、宮崎の飛行への愛(ナウシカ同様、ポルコも空を飛んでいるときが一番輝いている)、政治的な懸念(ここではファシスト政権下のイタリアが、同様に1930年代にファシスト政権下にあった日本の代わりになっている)、そしてボガートとハワード・ホークスの映画にうまく影響されているとはいうものの、われわれの世界に似た非ファンタジーの世界が、彼のこれまでの作品の中ではもっとも完全に表現されている。さらにいいことに、英語版(日本語オリジナルよりもずっといい)では、ポルコを演じるマイケル・キートンがこの俳優のこれまでで最も面白く記憶に残る演技をしている。
対照的に、「ナウシカ」はもっとなじみのある作風である。人間がこの惑星を破壊する力についての寓話としてはもっと良い作品である「もののけ姫」以前の作品として、この冒険映画は、動物への深い愛を持った少女が、近隣国の戦士達や巨大な芋虫のような昆虫の大群から彼女の牧歌的なふるさとを守る話である。宮崎の最初のヒット作はこの巨匠の当時まだ発展途上のスタイルを垣間見ることができるという点で、終盤のストーリー展開がはっきりしないにもかかわらず、面白い。アリソン・ローマン、パトリック・スチュワート、ケーリー・エルウィス、ユマ・サーマンによる声の演技はすばらしい。
(後略)
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