ジブリアニメの海外進出に関するニュース
2005年02月09日(水)00時00分
(旧ニュースページより転載)
-今年8月開幕の第62回ベネチア国際映画祭で、多くの優れた作品を生みだした監督に贈られる「栄誉金獅子賞(Leone d'oro alla carriera)」が宮崎監督に贈られる事になりました。
新聞報道等では「日本人で初」とされていますが、ベネチア映画祭公式サイトによると、黒澤明監督もこの賞を1982年に受賞しており、また「ハウル」公式およびベネチア映画祭公式での情報を見ると「アニメーション監督で初」となっているので、これは間違いだと思われます。
映画祭公式でのプレスリリースによると、映画祭ディレクターのマルコ・ミュラーのコメントは以下のとおり:
宮崎駿は、日本のアニメーション映画を西洋での分類区分の中に閉じ込めてしまうための壁を壊した巨人です。あまりにも性急に、彼は「日本のディズニー」とラベルを張られ、彼の非凡な創造力とビジョンは、我々にもっとなじみのある要素に還元されてしまいました。宮崎のエネルギーはロマンティシズムとヒューマニズムを壮大な物語に入れ込む。それは見る者が口をぽかんとあけてしまうような幻想的なファンタジーです。彼の映画がもたらすセンスオブワンダーは、我々の中に眠る子供を呼び起こします。しかしながら、産業の面でも宮崎には驚嘆すべき点があることも忘れてはなりません。大勢の新しい才能を訓練する場でもある工房(スタジオ)の組織的な仕事ぶりのおかげで、適切な「協力者たち」とともに、宮崎はアニメーションの旧来の枠組みを突破することができました。ベネチア映画祭が探求する作品にもますます含まれるようになってきている、新しいミレニアムの映画のポップアートを、宮崎駿は体現しています。
(訳注:ハウル公式や日本の新聞記事では、宮崎監督が「日本のディズニーと呼ばれるようになるまであっという間でした」と訳していますが、これだとなんとなく肯定的なニュアンスです。しかし少なくとも英語版のプレスリリースではtoo hastilyと、否定的なニュアンスになっています。欧米の宮崎ファンの間では、「日本のディズニー」というレッテルはむしろ宮崎監督に対する侮辱だと考える人が多くいます。文章の前後を読んでも、「日本のディズニー」という西洋の人たちにわかりやすいラベリングをすることで、宮崎監督のユニークさを正しく評価できなくなってしまうのはよくないと、ミュラー氏は述べているように思えます。)
プレスリリースによれば、授賞式は9月9日の「宮崎デー」に行われ、この日にはイタリアやヨーロッパでこれまで公開されたことのない宮崎映画が上映されるとしています。また、「ハウル」はイタリアで2005年9月に公開されるとのこと。東宝によると、授賞式には宮崎監督も出席する予定。
このプレスリリースには、宮崎監督のこれまでの仕事の歴史がかなり詳細に述べられていますが、「ハウル」については、「本来の監督である細田守の突然の死により、宮崎は予定していた引退をキャンセルせざるを得なくなった(”obliged him to cancel a planned retreat as a result of the sudden death of the project's original director, Mamoru Hosoda”)」と、とんでもない間違いが書かれています。
追記:その後「細田守がプロジェクトを降りたため」と修正されました。
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